騒いでいるのは日韓だけ。GSOMIA破棄が米国で報じられない理由

玩游戏 2019-08-30

韓国のGSOMIA破棄を巡り、日本では「アメリカが失望」「トランプ氏激怒」等々、米国の反応が逐一報道されますが、当のアメリカではほとんど皆無と言っていいほど報じられていないそうです。一体なぜなのでしょうか。米国在住の作家・冷泉彰彦さんが自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で詳しく解説するとともに、日韓両国に対立沈静化の努力を呼びかけています。

日韓関係、期待できないアメリカの仲裁

韓国が日本との間で締結している軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄(韓国側の言い方では「終了(?)」)を発表した問題ですが、日本からの報道を見てみますと、アメリカが反発したということが大きく報じらているようです。

例えば、韓国は「アメリカに事前に連絡した」としている一方で、アメリカの側は「失望」を表明したとして、ポンペイオ国務長官の「ディサポインテッド」というセリフが、かなりの頻度であちこちのチャンネルで報じられているようです。

中には、トランプ大統領が韓国を非難したとか、文大統領を批判したというニュースもあり、全くの事実無根ではないのかもしれませんが、日本ではかなり派手に「アメリカは怒っている」ということが強調されている感じです。

ですが、実はこの問題については、アメリカでは実際にはほとんど反応が出ておりません。NYタイムスなどは「各国の地域ニュース」の延長で、前後関係を含めた解説記事を掲載しています。まあ、詳しいと言えば詳しい内容ですが、それ以外にはメディアでの扱いはほとんどありません。

日本の地上波にあたる三大ネットワークではほぼゼロ。24時間ニュースを流しているCNNなどのケーブル・ニュース局については、さすがに全部をモニターはできませんが、基本的にゼロだと思います。

とにかく、アメリカの世論とメディアというのは米中貿易摩擦と株安のことで頭が一杯という中で、日韓の問題には全く関心が向いていません。このことは、トランプ政権とその支持者だけでなく、野党民主党の側も同じです。現在予備選が進行中の民主党の現状は、極めて内向きであり、医療保険改革と温暖化、そして人種や移民の問題の議論が中心であり、アジア情勢に関する議論は皆無といった状況です。

そもそも、今回の大統領選では軍事外交は全く争点になりそうもありません。例えば、トランプ政権の「同盟軽視」とか「同盟国のリーダーより独裁者たちと意気投合」といった姿勢は、確かに反対派からは批判されています。ですが、トランプに対する「アンチ」だからと言って「冷戦的な同盟関係」や「アメリカが世界の警察官的な仕切りをやる」といった「以前のアメリカに戻す」政策というのは、現在の若者たちには極めて不評です。

例えば、軍産複合体を嫌って、チェイニー的あるいはブッシュ的なものを嫌うというのは、民主党左派の姿勢としてよく分かります、でも、現在の30代以下の「ミレニアル世代」の場合は、チェイニーやブッシュと同じように「オバマやヒラリーの路線」も嫌っているのです。

ヒラリーが「航行の自由を掲げて中国の南シナ海進出に文句を言った」とか、オバマが「ブッシュ路線の変更を嫌って、アフガンやイラクへの派兵を続けた」というのは、当時を知る人間からは理解できるのですが、当時のことを知らない若い人々からは、「悪しき軍国主義のアメリカ」であると断罪されてしまっています。

そんな「内向きのアメリカ」という文脈からは、北朝鮮情勢、あるいは日韓関係に関する関心というのはほとんど生まれてこない、それが良くも悪くも現状であると言えます。

では、そうしたアメリカの若い世代は、日本や韓国には関心がないのかというと、決してそうではありません。

まず、日本に関しては相変わらずブームが続いています。アニメや漫画、食文化に関する関心は拡大こそすれ、勢いが衰える兆候はありません。ですから、ミレニアル世代の中で「1週間ぐらいの海外旅行に行きたい」という場合は、日本が自動的に第一希望になってくる感じです。

一方で、韓国については日本ほどではありませんが、K-POPの人気は爆発的であり、普通のアメリカ人の若者の間でも熱狂的なファンがたくさんいます。日本ほどではありませんが、電子製品、電化製品、自動車などの製造国だということは知られており、基本的に好感を持って受け止められています。

そんな中で、日本と韓国に関して「ミーハーな興味」しかない人々にとっては、つまり外部から見ればこの2つの国というのは、「瓜二つの存在」に見えるのです。そんな中で、一部のニュースなどで日韓が<内輪揉め>しているという報道に接しますと、これは非常に不可解で不自然な印象になります。

隣り合った2つの国が、長い歴史の中で複雑な確執を抱えるというのは、世界には色々な例があります。ギリシャとトルコ、英国とアイルランド、インドとパキスタン、エジプトとイスラエルといった組み合わせについては、多くのアメリカ人は「確執の理由」を何となく知っていると思います。

そうした事例と比較すると、日本と韓国の「仲たがい」は、理解できないし、不可解という感じがあるようです。そんなわけで、今回の状況についてアメリカの世論の深層では極めて冷静に見ているという印象があります。反対に、そのような世論を抱えた米国にとっては、本件は軍事・外交当局以外には当事者意識は極めて希薄であり、回り回って調停や圧力を期待するのは難しいとも思えます。

ですから、韓国の動向が一進一退となるのを必死にモニターする中で、アメリカから韓国批判らしいコメントが飛ぶと、「援軍だ」という感覚で安堵したり、といった「疲れる長期戦」を叩くのは賢明ではないと思います。そもそも、あまり格好の良いものではありません。日本側もそうですが、韓国側もそうです。

ちなみに、韓国側からはここ数日、驚くべきニュースが入ってきています。以前に、村上龍氏が編集されているメルマガ「JMM」でご一緒していた、韓国人で日本語・日本文化の研究家であるアン・ヨンヒ氏が、昨日付けで「文在寅政権がGSOMIAを破棄した本当の理由」という興味深いレポートを寄稿しておられます。このレポートによれば、韓国では8月22日まで毎日のように、ある政権与党がらみの政治家のスキャンダルが話題になっていたのだそうです。

それは、チョ・グク法務大臣候補に関する問題で、特に娘の大学への不正入学疑惑は、世論が「沸騰する直前」まで来ていたようです。この問題については、李正宣氏による別記事、「韓国国民の怒りの矛先、日本よりもチョ・グク疑惑へ」も詳しいのですが、要するに「法律の最高責任者になる」法務大臣候補が、受験地獄で有名な韓国において、世論が極めて敏感な「不正入学」に関与していた可能性があるわけです。その与党政治家のスキャンダルを隠すというのが、今回の協定破棄のタイミングに関係しているという見方です。

このアン氏と李氏の解説も、勿論、「文政権のアキレス腱暴露」という感じで、日本側で炎上させては逆効果なので、あくまで冷静に対処すべきです。そうではあるのですが、何れにしても、とにかく日韓がしっかり向き合って、冷静に問題を処理していかないと、米国としては、「在韓米軍撤退」から「在日米軍撤退」へというドラスティックな動きを始めないとも限りません。

その米国では、とにかくこの「GSOMIA破棄」問題は、ほとんど報じられていないわけで、そのことを前提に、とにかく両国の政権当事者、そして世論の沈静化を望みたいと思います。


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